ジャイアント馬場がレスラーとしてデビューしてから42年、そして全日本プロレス旗揚げから30年目の2002年９月30日、それを祝う多くの関係者の前で歴史はバトンタッチされた。午後８時12分、この日を持って退陣する元子社長から、その名が紹介される。「明日10月１日より新社長、すべてをリードしてくれます、武藤敬司をご紹介いたします」神妙な顔つきの武藤が壇上に上がり、続いて天龍源一郎、川田利明、渕正信が取締役として紹介されていく。その顔ぶれが新体制の輪郭をよりクッキリとさせた。パーティーには、ＺＥＲＯ−ＯＮＥの橋本真也と、石井和義ファイティング・プロデューサーも出席。武藤は橋本を元子社長の元へ、そして元子社長を石井氏のいる場所へと自ら連れていった。自分で動く新社長――その姿勢が、すべてに対してのものならば、プロレス界は本当の意味でいい方向に変わっていくような気がする。元子社長と全日本の主力選手たちは、総じて「好きにやる方がいい」という姿勢だった。みんなが武藤の手腕に注目している。もちろん、それがいい形になってほしいと願っている。表紙や扉に掲載したシーンを見ていると、不可能なんてないような気がしてきた。我々は、プロレスの持つ可能性を信じて、武藤に夢を託すだけである――。（鈴木）

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